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神奈川県有機農業推進計画の検討始まる

素案の基調は「有機農業は環境保全型の一部」

 11月27日、神奈川県による神奈川県有機農業推進計画を作るための検討会が始まりました。この「神奈川県有機農業推進計画策定検討会」は、県農業振興課、農業技術センター、農業アカデミー、JAのほか、有機農業生産者、消費者から構成されています。生産者として、あしがら農の会と有機農業ネットワーク神奈川からの代表者が委員として参加しています。

 11月27日の初回の会合で県より素案が示されました。この素案では、有機農業が環境保全型農業の一部として位置づけられ、素案の基調となっています。

有機農業は環境保全型とは別の農業

 有機ネット神奈川は、有機農業は従来の括弧付き「環境保全型農業」の一部ではなく、土つくりを重要視し、化学農薬や化学肥料がを使わない本物のエコロジー型農業であると考えています。また、一作ごとの評価に依拠するこれまでの各種環境保全型農業と異なり、当該農地の継続的な生態学的環境維持を目指す有機農業は、この点でも環境保全型農業とは基本的に異り、同一の枠組みに入れることにはなじまないと考えます。中には「冬場は農薬を使わないから、その期間の野菜は有機農産物だ」などと言う人もいますが、大変な間違いです。当該農地を一年中継続的に有機農法を用いなければその土地の生態学的環境のレベルを維持することできません。その時の都合で化学農薬と化学肥料の安易に使用する括弧付きの「環境保全型農業」=減農薬農業とは本質的に異なるもの、と理解しています。

位置付けの転換に踏み切った国・農水省

 この有機農業と環境保全型農業の関係について国は、すでに別のものとして推進すると、その位置づけの転換を明らかにしています。2007年1月より3月にかけて3回にわたって開催された有機農業の推進に関する国の基本方針を決める審議会では、国の当初案でも、今回の神奈川県のように「有機農業は環境保全型農業の一部」と位置づけられていました。しかし、審議会委員からは別物として位置づけるよう強く求める意見が出されました。これを受けて国は「(有機農業の)推進につきましては環境保全型農業の一部として推進するのではなくて、有機農業としてしっかり推進していきたいと思っております」(2007年3月27日、吉田大臣官房審議官)と、位置づけの転換を明確にしています。そして、有機農業推進に関して設置された全国有機農業推進委員会は、環境保全型とは別の独立したものとして設置されています。こうした実質的な転換は、有機農業推進法の制定過程で、有機生産者が声を大にして求めてきた成果といえます。

素案の修正意見を提出しました

 12月22日、神奈川県の素案に対して有機ネット神奈川は、有機農業を環境保全型農業と別のものとして位置づけることを基本とした意見を提出しました。あしがら農の会も別のものとするよう求める意見を提出しています。

 この検討会は、1月15日に第2回が開催が予定されています。県によれば、素案の説明会や意見募集を経て、2009年3月に神奈川県の有機農業推進計画が策定されるとのことです。今回策定される推進計画が、神奈川県下の有機農業を推し進め、生産者と消費者が共に満足できるようような計画にするべきです。

(2008.12.26)


  【参考】農水省:都道府県有機農業推進計画(リンク)